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エンターテイメント №247 2023. 9月
産経夕刊ビブリオエッセー 最終原稿
【書名・著者】 「深い河」遠藤周作(講談社文庫)
【見出し】 母なる大河とそれぞれの人生
【筆者】 奈良県橿原市 松場弘人 78歳
インドの人口が今年半ばの推計値で世界一になったようだ。そんな報道を見て、『深い河』を思い出した。私たち日本人は亡き先祖を迎える時期だが、この小説の登場人物はそれぞれの思いを抱え、輪廻転生、生まれ変わりを信じる人たちの母なるガンジス河へ旅に出る。
磯辺は亡くなる直前の妻が残した言葉をかみしめていた。「必ず…生まれかわるから、この世界の何処かに」。だから自分を探してほしいと言いおいて妻は息絶えた。木口はビルマの戦線で生死の極限を共にした戦友の法要のため、また美津子は大学時代に関係を持った大津の行方と愛の意味を探しに。美津子には神学を学ぶ大津を誘惑した過去があった。そして沼田は自分の身代わりになったと信じる一羽の鳥への思いを秘めてインドツアーに参加した。
今年が生誕100年になる遠藤周作。機知に富んだエッセーやユーモア小説を書いた狐狸庵先生の顔とともに、キリスト教をテーマにした『沈黙』など数々の名作が思い浮かぶ。信仰や神、キリスト教についての長い思索の末、遠藤はインドにたどり着いた。
6年前、私は会社のOBと北インドを旅する機会があった。巡ったのは世界遺産など表の顔のインド。道端の生ごみを食む牛たちの姿に少し感ずるものはあったが私のイメージするカオスなインドに触れる機会はあまりなかった。小説の登場人物たちはヒンズー教の聖地ヴァーラーナスィで何を見つけたのか。
美津子は沐浴する人たちであふれるガンジス河の近くで変わり果てた大津に出会う。物語のクライマックスだ。読みながら思った。悠久の時を超えて流れる母なる大河は善も悪も、清も濁も、不条理をも流し続けていくのだろう。
エンターテイメント №248 2023. 9月 Trip&Tour 23
出雲大社と美保神社の両参り 山陰ベストハイライト周遊2日間(クラブツーリズム)
10回以上海外を巡ったメンバーで国内旅行へ、1泊国内は前回金沢に次いで2回目。今回海外常連の1人が都合で不参加となったが、参加者は11人、皆さん海外へご一緒した人たちばかり。
「2泊以上で少し遠いところへ」との意見もあったようですが、病気から復帰の私の回復状況に気を使ってもらい、先ずは1泊でと言うことで足立美術館と出雲大社を2大イベントとした標記のツアーへ。
新幹線新大阪7:45集合なので、久しぶりの5時起きで、岡山駅からバスで山陰方面へ。ヒルゼン高原センターで昼食、足立美術館へ。「日本屈指の庭園と横山大観の圧巻の絵画を」いうだけあって見事な庭園。米国の日本庭園専門誌で全国約1000か所の庭を対象にした「日本庭園ランキング」で2003年から連続して日本一に選出されているらしい。
館内の廊下から大きな窓に映える庭園は素晴らしく、1杯1000円のコーヒーをいただきながらしばしの談笑と景色に見入った。
その後バスは本日の宿泊地境港へと向かう。途中車窓から「江島大橋/べた踏み坂」を渡り、美保神社に寄る。
宿泊は境港駅隣の「境港・夕凪の湯 お宿野乃へ。近くにはゲゲゲの鬼太郎の「水木しげるロード」があるらしい。このお宿少し変わっていてホテルなのだが、スリッパに拘り、「部屋にあるスリッパでお風呂に行けない」、めんどくさいので玄関からはだしで4階の部屋へ。大浴場は12階、露天風呂で旅の疲れを癒した。夕食は最近の旅館・ホテルみなビュッヘ方式。
翌朝は6:30~朝食、やはりバイキング方式。8:00スタートで山陰を代表するパワースポット出雲大社へ。この旅行やたら神社に寄る、途中万九千神社へ、ここは神在祭の最後に八百万の神々がお立ち寄りになるという。
出雲大社はさすが有名神社で、祭神は大国主大神。式内社、出雲国一宮で旧社格は官幣大社。神社本庁の別表神社。宗教法人出雲大社教の宗祠。 二拝四拍手一拝の作法で拝礼する。明治維新に伴う近代社格制度下において唯一「大社」を名乗る神社であったという。
神社の周りは「出雲そば屋」だらけ、11人が揃って座れるところがなかなか見つからず、やっと見つけた店で3色そばとビールで乾杯。
そして最後のイベントは松江城。現在の島根県松江市殿町に築かれた江戸時代の日本の城。別名・千鳥城。現存天守は国宝、城跡は国の史跡に指定されている。
私たちは時間の関係で直接松江城へは行かず、お城の周りを「ぐるっと松江堀川めぐり」12人乗りの舟から観ることに。
病後家族との1泊は2度行ったが、団体のツアーには一抹の不安があった。が、気心知れた仲間との旅行は楽しいものとなりました。