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エンターテイメント


エンターテイメント№206  2022.04月号  私の読書
日本人よ、かくあれ―大和の森から贈る、48の幸せの見つけ方  

    岡本 彰夫【文】/保山 耕一【写真】 
             2020.8.20初版大1刷 ㈱ウェッジ

【表紙カバーに】日本人よ、日本の未来よ、かくあれかし。大和に生まれ、半生を神前奉仕にささげた筆者があらまほしき日本の姿と日本人の幸せを考える、48のエッセイ。

私は日本が好きだ、日本人が好きだ。そして「日本や日本人が好きな人」が好きな人が好きだ。

「自分の国が好き」は誰でもどこの国でも当たり前のこと。

しかしなぜか我が国には素直に日本が好きだと思わない(私にはそう思える)人も多いように思える。私はこの本を読んでますます日本人に生まれてよかったと思い、奈良を故郷に持ち、同じ奈良県に住んでいられることをつくづくありがたく思えるこの頃であります。

 この本、文庫本より一回り大きいくらい(むかしのカッパ文庫くらい?)で170頁1600円+税。少し高いように感じるが、座右に置いておきたい本としてその値段相応いやそれ以上の値打ちがあると思えます。

著者岡本彰夫氏の4章48のエッセイ、氏は春日大社の権宮司をH27年に退職され、いまは奈良県立大学の客員教授として教鞭をとっておられる。一文と一文の間に保山耕一さんの写真が入る。保山氏は末期がんと闘いながら奈良の自然を撮り続けている写真家です。

   私自身、保山さんは写真家として、NHKで映像詩「飛鳥」や「大和の季節72候」などを観て知っていたが、著者岡本さんのことはいままで縁がなかった。

  この本との出会いはカミさんがさだまさしファンだったとともに、なぜか大の春日大社ファンであることに起因する。彼の歌は曲もさることながら詩がいい文章がいい、カミさんは彼のCDは当然として著書もほとんど買っている。この本、彼女はさだまさし推薦本と言うことと、著者が春日大社ゆかりの人あることを知り、手に入れたのです。

そして、さだまさしも「日本や日本人が好きな歌手」なのです。

本書「入鹿の首」で、入鹿の首が飛んだという伝承のある地に建てられた「入鹿神社」は私の散歩コース。また「大和八木の谷三山(幕末大和の大学者)にも触れているが、「今井町花甍」の前にその説明板があり、散歩でよく通る。

48のエッセイは含蓄あるものばかり、「風格」「伝承の重み」「合理化の愚」「女人禁制私考」「弁(わきま)え」「目分量」「秘伝」「方便とは」「儀式とは」「職人の矜持」「美しく老いる」「歴史の行間」「余白」。そして奈良名産「蚊帳・三輪そうめん・干し柿」等についての蘊蓄も。

 なかでも「奥の奥」への項では、「上へ上へと昇るのは限界がある、奥へ奥へと入るのは限りがない」と教えてくれるのです。

奈良は同じ都として、京都と比べられることが多い、氏は「京の(みやび) 奈良の(ひなび)」という言葉でその違いを現わしている。なるほどと思わずにはいられない。

【帯に】さだまさしが「日本の魂がここにある。日本人全ての人に読んでほしい、心豊かな現在の「五輪書」です。と書いています。


  
著者 岡本彰夫[オカモトアキオ]
奈良県立大学客員教授。「こころ塾」「誇り塾」塾頭ほか。昭和29年奈良県生まれ。昭和52年國學院大學文学部神道科卒業後、春日大社に奉職。明治以降断絶していた数々の古儀や神饌、神楽を復活させた。平成27年6月に春日大社(権宮司職)を退任

 写真 保山耕一[ホザンコウイチ]
映像作家。昭和38年、大阪府生まれ。フリーランスのテレビカメラマンとして『世界遺産』(TBS)などを担当し、世界中をめぐる。US国際映画祭でドキュメンタリー部門最優秀賞「ベスト・オブ・フェスティバル」を受賞。現在は末期ガンと闘いながら、「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良の自然や歴史にレンズを向け続ける。第7回水木十五堂賞受賞。第24回奈良新聞文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

   
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